がん免疫療法について

T細胞輸注療法

CAR遺伝子導入T細胞輸注

がん免疫療法で、がん細胞を直接攻撃するのが、キラーT細胞(CD8+T細胞)です。そのT細胞を直接身体に入れる方法がT細胞輸注療法です。腫瘍組織に浸潤しているリンパ球を回収して培養した後に患者さんに再輸注する方法がTIL(tumor-infiltrating lymphocyte)療法といいます。海外で転移メラノーマにも有効であるという報告がありますが、まだ臨床応用はメラノーマに限られています。

T細胞ががん抗原を認識する際のアンテナであるTCR(T細胞受容体)の遺伝子を人工的に導入してがん専門TCRを発現する細胞を作製する方法があります。また、がん細胞表面の抗原を認識する抗体の一部分とT細胞への活性化信号を伝える部分を結合したCAR(キメラ抗原受容体)を発現する細胞も作製できます(下図参照)。

TCR遺伝子を導入したT細胞輸注療法がメラノーマと滑膜肉腫に有効であるという報告があります。CAR遺伝子導入T細胞輸注は、CD19というBリンパ球系腫瘍(急性リンパ性白血病など)に有効であるとの報告が多くあります。「研究について」でも詳しく紹介しています。