これまで多くの病気の原因が解明され、たくさんの薬が開発され、一般に使用されるようになりました。どの薬も広く患者さんに使っていただけるようにするためには、動物実験など多くの実験が行われた後に、実際に患者さんに使っていただいて有効性と安全性を検討しておく必要があります。さらに現在行われている標準の治療薬や治療法と比較して、生存率への寄与などの長期的な有益性についても検討します。
このように患者さんを対象にして薬を評価することを“臨床試験”と言います。臨床試験には主に、薬の安全性をみる試験(第I相試験)、臨床効果(がんであれば腫瘍がどの程度縮小するか)をみる試験(第II相試験)、さらに長期生存をみる試験(標準治療との比較)(第III相試験)があり、それぞれ段階を踏みながら実施されます。
三重大学で行っているがん免疫療法はすべて第Ⅰ相試験または第Ⅱ相試験で、がん免疫療法はがんワクチン、細胞療法があります。ワクチンや細胞の安全性をみながら、がん抗原に対する免疫反応(抗体反応など)と、がんを縮小させる効果を検討します。