1.がん免疫療法の進歩について
がん免疫療法の開発研究は、この20年に2回大きな飛躍を遂げています。
第1期は1991年のMAGE (melanoma-associated gene, メラノーマ関連遺伝子)の同定に始まった抗原を標的とするがんワクチンと樹状細胞療法からT細胞輸注療法の研究です。
第2期は1996年から始まったCTLA-4分子阻害抗体による免疫チェックポイント阻害剤の基礎研究と2003年から始まったヒトへの臨床応用です。第2期パラダイム転換に追い討ちをかけたのが、抗PD-1抗体治療の登場です。2008年に抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)の臨床試験データが、2012年には抗PD-1抗体(ニボルマブ)の臨床試験データが発表され、2014年7月にニボルマブがメラノーマ治療薬として日本において世界初の承認がされました。現在は肺がん、腎細胞がんにも適応が拡大されています。このように急速なスピードでのがん免疫療法の薬剤開発が進められています。